line4.jpg

HOME > メンタルインタビュー > メンタル「宮本慎也」

野球

宮本 慎也 shinya miyamoto

東京ヤクルトスワローズ

1970年11月5日生まれ。大阪府出身。
PL学園-同志社大学-プリンスホテル-ヤクルトスワローズ 入団
ゴールデングラブ賞6回 アテネ五輪・第一回WBC・北京五輪日本代表

宮本慎也

WBC・北京オリンピックのキャプテンも務めるなど国際経験も豊富の日本を代表する選手に今回は野球に対する取り組み方、意識の持ち方を中心にお話を伺ってきました。少しでも皆さんの参考になれば幸いです。

宮本選手(以下「宮」) 馬鹿にされるかもしれませんが、元気を出すというのは実力以外にも目はいきます。人より声を出す事によってパッと目は行くと思います。そこで見てもらうしかないので、声を出すというのは大事だと思いますね。それに野球のプレーの中でも声を出すというのはたくさんあるので。本当に単純ですが、練習で人より声を出す。ノックを受ける時でも順番が関係ないのであれば一番最初にノックを受けにいくとか、そういう事だと思います。指導者の方も見ていると思いますよ。

ス 野球に取り組む姿勢ですね。

宮 そうですね。声を出すことは恥ずかしいことでもやらしいことでもないわけですからね。ただ見ていないところで手を抜くというのは論外です。

だから練習に対する姿勢、野球に対する姿勢というのは普段からコツコツやるというのを積み重ねないと、一日二日でこいつは野球に対する姿勢が素晴らしいとはならないので、やはり1ヶ月2か月3か月4か月と積み重ねていくうちに周りからも評価されるので。野球に対する姿勢は積み重ねるしかないですね。。

思いやり

ス 以前、高校生に聞いたことがあるんですよ。何故グランド挨拶するの?って。そしたらわからないと。声出しなんかもそうですが、声を出せと言われるから出している選手が意外に多いのかもしれないです。

宮 ん〜。必要な時に必要なだけの声を出せるのかというのが野球では非常に大事ものだと思います。グランド挨拶するのは「今から練習させて頂きます。グランドを使わせていただきます。よろしくお願いします」という気持で挨拶するのが基本ですよね

ス そうですよね。挨拶することによって自分の気持ちもシャキッとしますよね。

宮 そうですね。

ス 形ばかりが先行して中身が抜け落ちているというのが非常に多い気がします。前に宮本さんにお話を伺った時に印象に残っているのが、同志社大学時代に宮本さんが監督に言われたとおっしゃられた、「自分にとってはストライクかもしれないけど相手にとってはストライクじゃない。」そういう事に繋がってくると思うんですよね。相手を思ったりとか。

宮 今は環境がそうかもしれないですよね。実際にチームスポーツというのはお互いの為に、勝つ為にやりますよね。野球ならヒットを打つためにホームランを打つためにやるわけではないんですよ。勝つか負けるかの中で勝ちたいからヒットが打てれば良い、勝ちたいからHRを打てれば一番良い、勝ちたいから進塁打を打てれば良いと思うんですよね。今は逆になっている子は多いですね。

自分から考えて行動する

宮 僕は今年一年がみがみ言いましたが、文句を言っている奴は分かります。ただ文句を言うような奴には話をしないといけないのかなと思います。話を聞いて尊重して、でもこんな考え方もあるよと話をしないといけないのかなと思います。

ス なるほど。考えない選手って多いのでは?

宮 分かります。分かります。考えないですね。

ス そこが宮本選手のジレンマなのでは?

宮 そうですね。僕は考える事をしないと僕はこの世界で生き残れないと思っているので。よく自分のスタイルとか言いますけど、僕はその場その場で合わせるのが自分のスタイルだと思うんです。自分のスタイルでやってみて駄目なら変えないといけないと思います。その先見えないですよね。同じ事をず〜っとやってもしょうがないですよね。同じ失敗ばかりして、今の選手はそういうのが多いですね。

野球界だけではないと思いますが、自己中心的な考え方が多いと思います。

多分、若い子は若い子なりに一生懸命やっていますが、僕らの代の一生懸命とは違いますね。

ス 仮に例えばそうやって宮本選手が手取り足取り教えてあげるとするじゃないですか?でも、そうするとその選手は人から与えられるものを待つと思いませんか?

宮 今の子は自分から聞きに来ないですよ。上手くなりたいと思っているなら、聞きに来れば良いのに、自分から距離を作っています。ま、僕は自分ではフランクに声はかけているつもりですが。(笑)

仮に(僕が)聞きにくい雰囲気をつくっているので聞きづらいというのであるならばそれは間違いで、自分が上手くなりたかったら(自分から)聞きにいくべきだと思いますね。いろんな話をきいて自分の為にすればいいわけです。ただそこに飛び込む勇気が中々ないんですね。結局は行動出来なかった時に人のせいにするのが多いですよね。僕は言い訳するのが嫌です。誰でも失敗するので、そこですいませんでしたと誤れば良いのを言い訳するんですよね。すいませんと謝る心があってこそ反省し、次に活かせるのにと思います。なんかで言い訳して逃れたら次も多分同じようなことをするから進歩はないと思いますね。

ス 野球選手には本を読んで欲しい。本の中に答えはないですけど、考えるべきヒントは一杯ありますもんね。

宮 そうですね。僕もそんなには読んではいないですけど、今流行っている本とか人から勧められた本とかを読んだりします。気持ちの持ち方であるとか野球に転換できるヒントはあると思いますね。読み過ぎるのは良くないと思いますけどね。自分の考えが無くなるような感じがします。

ス そうですね。ただ考える習慣はつきますよね。

宮 なんでこうなるのかとか例えば自分ならどうするのか?それだけでも全然違いますよね。FAの交渉でもそうですよね。こいつらは何を考えているのかな、何をどうしたいのかな?自分ならどうしようかな?とか考えたりするのも一つですよね。

チームワークについて(その1)

ス チームワークのとらえ方っていろいろあると思います。宮本選手は、チームワークはあると思いますか??

宮 あると思います。チームワークとはよく個々が勝つためにやればチームワークが生まれると言われますが、できれば意思統一がある方が良いですよね。

高校時代に僕は寮生活も含め色々な決まりがありました。その中で何が一番身になったかというと一人の為にみんながやる事ですよね。そして、みんなの為に一人が動く事です。それが団体生活ですごく学ばせてもらった事なので、僕はそれは野球にも当てはまるのではないかと思います。

例えば、その場面で自分は打ちたいけど右に進塁打をうたないといけないとか。みんなの為にそうするわけじゃないですか。そういう気持ちを素直にできる選手が沢山いればそれはチームワークが強いと言えるのでは。

それをヒットが打ちたいからと言って欲を持ってヒットを狙いに行く。それで仮にヒットを打てても、それで良いとは僕は思わないですね。個人競技ではないのでね。確かにプロは成績残して初めて給料が上がるので。。。ま、そこが一番邪魔になっちゃうんですよね。でも強いチームというのはそういう部分で他のチームより上にいっているので優勝できると思うんです。

ス なるほど。では、スタンドで応援している高校三年生が本当にチームに勝ってほしいと思っていると思いますか?

宮 どうなんですかね〜。でもそこが三年間本当にみんなで苦労を分かち合って三年間頑張って、できたかどうかだと思いますけどね。圧倒的な戦力をもってチームワークがないようなチームだったらもしかしたらいるかもしれませんね。

だから僕らの時は例えば、1年生の時は誰かがミスをしたらみんなが怒られるからみんなでそこを助けようとするし、やっぱり自分のミスで怒られる時は一人ではなく全員で怒られるのでやはり申し訳ないなという気持ちも出るし、そういうのが多分、チームワークになっていくのでは。特に高校生なんか。僕は寮生活をしていたので特にそう思います。通いでもそうだと思いますよ。

今、当時の同級生と集まっても苦労した話ばっかりですもんね。(笑)いい時の話なんかない。(笑)あまえがあの時あんなことしたからみんなで殴られたとかね。(笑)

ス そういうことで一体感が培われているんですよね。

チームワークについて(その2)

ス また人ってそういうきれいな部分と同時にぎゃくに負けてほしいと部分もあると思います。負けず嫌いの選手なんかはライバルが出てる試合は負けてほしいという気持ちもあると思います。

宮 あると思いますよ。

ス ただ負けてほしいと思っているのにそういう事を言うこと自体が非国民みたいな感じがあるじゃないですか。

宮 だからそれを反発すればよいのではないですか?まずは自分がチャンスを掴める努力をする。しないで思うのは論外ですが、自分もしっかり努力して、でもチャンスをもらえなかった場合、まずは自分の努力が足りなかったとまずはしっかりと認めた上で、次にチャンスをもらえるように、(ライバルに)チャンス掴むなよ、掴むなよって思う気持ちはあって当然だと思いますね。

ス 宮本選手も高校時代はそういう気持ちでやっていたのですか?

宮 実際にプロに入った最初の頃はそうでしたよ。同じポジションの人間にはチャンス掴むな掴むなと正直に思っていましたね。若い選手にも言うのですが、レギュラーでない選手にはまずは自分が実力を付ける事を考えろと。その中で試合にでた時はサイン通りに動かなければならないし、チームが勝つために努力をしなくてはならない。まあ、自分の生活もあるだろうし、レギュラーになる過程の中で多少は自分勝手なプレーも仕方ない部分はあるのですが。

一方、バリバリのレギュラー。例えばうちだと僕とか青木とかは。これは絶対にチーム優先で動かなければならない。なぜなら、よっぽど調子が悪くても外されないですから。そういう選手は絶対にチーム優先でやらなくてはならない。

ス 確かに、それが正直なところだと思うんですよ。でも高校生だとそう思う事が間違っていると思ってしまう子もいるのではないかな〜と思うんですよね。

宮 僕は、そこは間違っていないと思います。ただ努力もしないでそう思うのは間違いですね。

ス そうですね。あたりまえだけど野球は9人しか試合に出れない。控え選手の方が圧倒的に多い。

宮 そうですね。控え選手がお人良しでは駄目ですね。試合に出た時にはチームの為にプレイしなければなりませんが、その前の段階でチームの為にチームの為では駄目です。そこは自分を出さないとつかめる物もつかめなくなりますからね。僕もライバルだと思う選手よりも先にノックを受けたりしていましたしね。ベンチにいても打つな、打つな、と思っていたし。

ス そうでないと上には行けないですよね。

宮 そうですね。自分で100%、120%チャンスをもらえる為の努力をしているかどうかがまずは大事なわけで、それをちゃんと自分の中でできていると思えば自然とそういう気持ちになると思うんですよね。そういった準備もせずにそう思うのは間違い。自分は努力を怠って楽をしているのですからね。

ス その先にチームワークがあるんですね。みんなの為にという思いやりの気持ちが。

宮 幸い僕は若い段階で監督さんにそういう話を聞くことができたので。それを伝えているつもりではあるんですけどね。ま、本人がどう思ってやるかはまた別問題なので。

ス たぶん宮本さんはきっと自分が苦しんでも相手を楽な立場に置いてやりたいと思うのでは。

宮 試合の時はそうですね。ま、チーム全体の時もそうですけど。ま、今回はオリンピックでも負けましたけれども、はっきりいって選手の中では僕の責任です。そういうものをかぶる覚悟をもってやっているので。試合だけでなくそれ以外でもキャプテンという立場ですし、自分が苦しんでも相手を楽な立場においてやりたいと思いますね。それがチームの為にもプラスになりますしね。

ただ(そういう考えは)僕が生き残るにはせざるを得なかったというのもあります。圧倒的な力があったわけではないのでね。チームの為にどれぐらい動けるかというのが、僕が生き残れるポイントだったので自然とそういう考えになりました。これが本当に力のある人がそう考えるかと思うと中々そう考えないかもしれません。

ス プロに入るような選手はアマチュア時代はみんなずば抜けていますからその転換というのが難しいのかもしれませんね。

宮 だから、そこで変化できない選手は通用しないですね。特に顕著なのが外国人選手なんかそうですよ。俺はこのスタイルでここまで来たからこれでやるというのはやっぱり駄目ですね。なんとか日本のスタイルを学ぼうとした選手が成功していますよね。典型なのがラミレスですね。日本のスタイルを学ぼうと努力した選手ですね。

プレッシャー克服方法

ス 宮本選手は国際大会など数多くプレッシャーのかかる場面でプレーされていますが、そういう場面で最大限に力を発揮する為に宮本選手なりの心の持ち方とかプレッシャー克服方法とかはありますか?

宮 まずは自分のできる限りの準備をするということですね。後は緊張するものなので。よく緊張しないという人もいますが、緊張しないならそれはそれでいいと思います。僕は緊張感があった方がよいプレーができると思っています。ただ緊張した時に、「やばい!」と思ったら余計に緊張して浮足立つので、自分は緊張しているなという自覚を持つようにしています。

ス 認識するんですね。

宮 僕はそうですね。緊張しているなと認識することでこういう場面はこういうプレーは駄目だなとか逆に注意力が上がります。そこを「あっ、やばい緊張してる!緊張してる!」と思うとそんなの全部飛んで頭が真っ白になってしまう。

緊張しているのをまず認めて、じゃあ次にどうしたらいい?と考えないと。そういう風に考えたら逆に注意力が上がって僕はいいプレーができると思います。

こないだ、原監督(WBC日本代表監督)と話す機会があって、なるほどなと思ったのですが、「勝負というのはドキドキしないと勝負じゃない。」と言われたんですよ。まさにそうだなと。だから緊張して当たり前なんですよ。だから緊張することは悪いことではないし、逆に緊張していると認識すれば注意力も上がりますし良いプレーもでると思います。

ス ドキドキをワクワクに変えればいいのですね。

宮 (笑)中々難しいですけど。僕はマイナス思考なんで。よくプラス思考が良い。マイナス思考が悪いと言われますが僕はずっとマイナス思考でやってきているのでマイナス思考もそんなに悪くないと僕は思いますけどね。物事の捉え方だと思いますね。

野球小僧

ス 野球好きですか?

宮 ん〜...やっている時に楽しいという感覚はないですね。

ス でも絶対に宮本さんも、小さい頃はグローブ買ってもらったらうれしくてず〜っと野球をやっていませんでしたか?

宮 そうですね。ずっとグローブをいじっていましたね。

ス あういう野球小僧はどこにいったのですかね?

宮 僕は試合の時に楽しいという感覚はないですね。終った後に楽しかったな〜、やっぱり野球は面白いなとは思います。試合中は無我夢中で勝ちたい、打ちたい、しっかりとらないと、という気持ちが強いのです。例えば試合中に駆け引きに勝った時など、多分あいつはこういう事を考えてあの球、投げたんだろうなとかいうのはありますけどね。

野球が楽しいのは結果がでるからなのでは?と思います。キャッチボールでは結果がでませんから。

子供の時はそれが初めてでバットを握った手の感触、投げる喜びとかが新鮮で楽しいのでは。そのうち、試合で結果が出るから楽しい。結果が出ないからつまらない。そこでやめるのか、結果が出るまで頑張るのか。そこだと思うんですよね。打った時の感覚は嬉しいですもんね。やはりヒットを打ったらどんなヒットでも嬉しいですよ。

ス もっと野球をするのにワクワクするような選手が多いといいですね。

宮 ん〜。でもそれはね、ありますよ。例えば、良い投手が先発と分かっている時など今日はこの投手をどう打ってやろうかなとかね。どうやって攻めようかなとかを考えたりしながらグランドに入るのもワクワクだと思うんですよね。

また今の時期はオフに入って少しですがもうユニフォーム来て野球やりたいなと思いますからね。若い時はオフシーズンは縛られない時期なので嬉しかったのですが。(笑)やっぱり2月1日と開幕戦というのは楽しみですね。開幕戦というのは年々責任が重くなってきているので。若い時なんかは失敗したら使った監督が悪いんだぐらいに考えていましたけど、もうそういう言い訳はベテランだときかないので今年一年どうなるのかな〜とか思いながら1月31日はなんとも言えないですね。

ス 野球小僧ですね!

宮 (笑)いや〜、みんなそうだと思いますよ。それにプラスして、最近は開幕戦があり交流戦があってクライマックスシリーズがあって日本シリーズがあります。日本シリーズは最近は味わっていませんが、その初戦の前のワクワクというかあの不安定な気持ちはなんとも言えないですね。

ス 145試合なら同じ試合は一試合もないわけで145通りのゲームがありますからね。そういう気持ちで1試合1試合臨んでもらいたいですね。

宮 そうですね。僕は全試合勝ちたいですけど、プロ野球ですからもちろん捨てゲームもあります。しかしそれは監督が決める事ですから、僕らは目の前の試合・プレーを集中してやるだけで、ワクワクといったら違いますが新鮮な気持ちでやっていきたいですね。交流戦というのも僕らにとってみては慣れた頃にやるので新鮮なんですよ。違うリーグの良い投手と対戦できるというのは凄く楽しみですね。どうやって攻略しようかと。

球児達にメッセージ

宮 凄くいやな時期に入ってきていると思います。冬場は基礎体力中心のメニューですから。ただこの若い時期のトレーニングは若い高校生にとっては見違えるぐらい変わるのでここは本当に死ぬつもりで頑張ってください。

与えれらたメニュー+自分はこうやりたい、こういう選手になりたんだと目標を定めてこの冬を死ぬ気で乗り越えるとね、全然違った選手になったりすることもあるので。地道なコツコツやるトレーニングが多いですが、そんなトレーニングだからこそ、みんなで元気出して、ふざけては駄目ですが明るく、冗談言いながらでもきっちりと取り組んでほしい。本当に飽きてしまうようなトレーニングが多いですがそれを飽きずにたくさん練習してほしいですね。やればやるほど伸びますから。

後、高校生活は3年しかありません。特に同級生は同じ苦労を共にしてやるわけですから。ほんとに短い三年間の中で共に喜んだりとか、苦しんだりとか、悲しんだりとか、いろいろ経験を全員で共有しながら三年間を終えてほしいですね。せっかく野球というスポーツに巡り合えたのですから、他のスポーツよりいい思い出を作って高校生活を送ってほしいと思います。

また野球道具のお金もばかになりません。汗水たらして両親が稼いできたお金で道具を揃えたりしています。野球をさせてもらっている親に感謝して、仲間は大事にし、三年間頑張ってほしいと思います。

ス ありがとうございました。

《高校野球情報.comより転載》



メンタルトレーナー高畑好秀プロデュース